毎日に寄り添うクラシック音楽を楽しんでいる“女子クラ部 ( http://joshicla.com) ”。
今回、女子クラ部のライターのみなさんに続き、上野耕平 1st デビューアルバム『アドルフに告ぐ』をレビュー第2弾!
女性目線では、どのように感じていただけたのでしょうか? 上野耕平本人もじっくりコメントを読み、「こうしてみなさんに聴いて頂けることができて、嬉しい限りです!」と感激しきり。
TwitterやFacebookなどでも、みなさまからの感想を引き続きお待ちしております!

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☆Review by河本美和子  NEW!
CDタイトルから手塚治虫さんのマンガと関係があるのかと勘違いしていましたが、サクソフォンの生みの親であるアドルフ・サックス生誕200年にちなんでの作品集とのこと。
サクソフォン=ジャズの楽器というイメージ。
でも上野さんの演奏を聴くと、あるときはフルートのようにそっと優しい音、またあるときはクラリネットのように柔らかく力の抜けた音、
またあるときはサクソフォンの魅力とも言える甘く色っぽい音とさまざまな表情があり、この楽器の幅広い可能性を感じました。
もちろんそう感じさせるのは、上野さんのすばらしいテクニックと表現力があってのこと。
このアルバムをきっかけに、ジャズ以外でもサクソフォンの作品をいろいろ聴いてみたい! と思いました。

☆Review by 凛々さん  NEW!
「アドルフに告ぐ」に見る期待の星~上野耕平・サクソフォンへの熱き思い
初めにCDタイトル「アドルフに告ぐ」について。
アドルフとはベルギー生まれの楽器職人で、木管と金管楽器の中間を担う楽器の試作を重ね、1855年パリ万国博覧会「楽器製造コンクール部門」の472種からグランプリに輝き、
ベルリオーズを含めたフランスの作曲家によって大きな注目を集めた。
音量が豊かで人間の声に近い温みがあり、木管楽器に属する比較的新しい楽器と言える。
 さて1992年生まれの上野耕平くん、2014年東京芸大4年生に在籍する新鋭とあり、胸を膨らましてCDに針をおとすと、
第1声が実に切れ味があって、私は期待が高まり真摯に耳を傾けた。 
第1曲吉松隆「ファジーバードソナタ」は、Bird Run、Sing、Flyという3つの姿態を捉え、ジャッズとクラシックを彷徨う現代的なセンスと、
2楽章から3楽章にかけてフランス近代印象主義から和を思わせる笛の調が混在し、
影を含む緻密で複合的な曲想、即ち、鳥は走り、歌い、天翔し、昼が過ぎ、夜を迎え、朝へと返る変幻自在な世界を、
サクソフォンの多様多彩な技法や音色で駆使し奏で続ける。また、ヴィヴラートを安易に用いない硬質で純な音作りと、濃密で的確な音楽の絶対的な信頼を中核とした志に目を見張った。
 総じてサクソフォンの魅力を根底に聡明な感性と完璧な奏法が光るが、佐野隆哉さんの深い考察と感受に富む安定したピアノ伴奏も味がある一級の推奨品だ。

☆Pinoさん
女子クラ部さんのご厚意で、上野耕平さんのデビューアルバム「アドルフに告ぐ」をリリース前に聴くことができました。
上野さんの才能と、サックスの魅力や可能性が十二分に伝わってくるアルバムでした。

1曲目は吉松隆の「ファジーバード・ソナタ」。上野さんは、ジャズとクラシックとエスニックが融合された特殊奏法ばかりの難曲を、澄んだ青空を突き抜けるような音で華麗に演奏していました。
サックスがどんなジャンルの音楽でも魅力的に演奏できることを証明するかのようでした。
特にFly, Birdの、2分40秒くらいから1分30秒近く続くアドリブは、本当にかっこよかったです!
「ぶおん、ぶおん」と太い音で始まるアドリブは、鳥の鳴き声や、大きな羽をばさばさと揺らしているように聞こえ、中間の美しいメロディーは青空を旋回する鳥のよう。
最後にまた太い音に戻り、緩急のつけ方が素晴らしいアドリブでした。サックスが持つ表現力を最大に引き出した演奏だと思いました。
2曲目はA.リードの「バラード」。サックスの持つあたたかみ、やさしさを堪能できる曲でした。
上野さんが、目の前にいる大切な人のために歌っているようで、心にすっとしみ込んできました。
3曲目のP. モーリスの「プロヴァンスの風景」は、「若い娘達のファランドール」など副題がついた5つの曲から成ります。
上野さんの演奏からは、副題で示されているものに加え、南フランスの明るい太陽、空気、温度、人の様子まで伝わってきました。
特に、アブの1種である「カブリダン」では、忙しそうに飛び回るアブだけでなく、春から夏のプロヴァンスの自然や、アブを眺めている人の情景が浮かびました。
4曲目はP. クレストンの「サクソフォン・ソナタ」。
サックスのために書かれた曲ですが、オーボエやフルートなどの木管楽器やトランペットやトロンボーンなどの金管楽器の音色に加え、弦楽器の音も聞こえ、オーケストラを聞いているようでした。
この曲はピアノも大活躍する曲で、お互いに引き立てあい、仲良く会話をしているようでした。
第3楽章は軽やかに踊るような曲で、最後にサックスとピアノが駆け上って駆け下りるところは、色の洪水のように感じました。
最後の曲は、J.ドゥメルスマンの「ファンタジー」。ピアノのきれいで少し悲しげなソロからサックスの美しい音色に引き継がれ、上野さんが作る「ファンタジー」の世界に引き込まれました。
子守歌を歌う美しい人や森の中のアルペンホルンといった情景もあったように思います。
サックスのみの演奏になったときは、休符の部分までも何かを伝えようとしているようでした。
最後はとてもかわいく終わって、胸がきゅんきゅん(死語?)しました!

私が上野さんに初めて会ったのは、昨年12月に行われた女子クラ部さん主催の忘年会でした。
上野さんの演奏を聴いて、青年らしい伸びやかな音の中に、成熟したもの、ゆるぎないものがあることに驚きました。
私は趣味でジャズピアノをやっていて、よくサックスと一緒に演奏するので、上野さんに「ジャズはやらないのですか?」と尋ねてみました。
「ジャズは好きで、練習もしますが、僕はクラシックサックスを極めたいと思っています」と力強い瞳でおっしゃっていたのが印象的でした。
サックス愛好家はもちろん、クラシックサックスになじみがない人でも楽しめるCDだと思いますので、多くの人にぜひ聴いてもらいたいと思いました。
特に、ジャズをやってる人は、上野さんの抜群のリズム感にも注目です!そして、上野さんの今後のご活躍をとても楽しみにしています!

☆YUMIさん
上野耕平さんの「アドルフに告ぐ」を聴きました。
私自身、サクソフォンの演奏事態をちゃんと聴いたことがなく、初めての体験でした。
まず驚いたのが、サクソフォンのメロディがやわらかく鳥のさえずりのようでした。
漠然としたイメージでサクソフォンはジャズの曲でスパイス的にまた、パフォーマンスに長ける楽器のイメージでしたので、これとはまったく違った印象を受けました。
どちらかというとゆったりとしたシーンで!お休みの日の午後のティータイムにもぴったり!特にプロヴァンスの風景が私は気に入りました。
プロヴァンスはパリとは違ってフランスでも田舎でどこか素朴な風景がよく見られますが、サクスフォンの音がゆっくりとした時の流れを表している感じでピッタリだと思いました。
サクスフォンをご存知でない方でもゆったりとした気分になれる素敵な音楽がつまっていてオススメです!

☆Review byモモコさん
CDを聴き終えてまず、自分が今までサックスについて大きな誤解と偏見を持っていたことを心底反省しました・・・。
ブラスバンドやジャズのイメージから、サックスは派手で目立つけれども、あまり音楽的な表現はできない楽器だと思い込んでいました。
けれども、上野さんのCDを聴いて驚いたのは、その表情豊かな音色と表現力でした。
曲によって、温かみのある音、優しい音、シャープな音、繊細な音など、同じ楽器とは思えないほど多彩な音色を奏でていて、
「サックスはこんなにいろいろな表現ができるんだ!」と新しい発見がありました。
それはもちろん、上野さんの卓越したテクニックと、内に秘めた音楽への情熱があるからこそ、可能になったものだと思います。
上野さんの師の須川さんが、クラシックの楽器としてのサックスにこだわって演奏活動を行っていることに強い影響を受けていることが、今回のCDの選曲と演奏からよく分かりました。
サックスはピアノやヴァイオリンなどと比べるとまだ歴史の浅い楽器なので、「古典」と呼べる作品は少ないと思います。
でも、最近はピアノやヴァイオリンなどの演奏家も、近現代作品や世界初演の作品を好んでレパートリーに取り上げているので、
新作が次々と作られているサックスはある意味、ラッキーな楽器なのかもしれません。
今演奏している作品が、将来はサックスの「古典」になっていくことでしょう。
サックスという楽器にはまだまだ可能性があるのと同じく、若い上野さんの将来にも無限の可能性が広がっているのが本当に楽しみです。
そして、手塚治虫作品と同じ「アドルフに告ぐ」というタイトルがとてもカッコいいですし、
サックスの生みの親であるアドルフ・サックスに敬意を表した今回のデビューCDのタイトルに何よりもふさわしいと思いました。

☆Review by esuさん
実は一番最初に好きになったミュージシャンがSAX PLAYERだった私。
その影響でFUNKやSKAを聴いていた時期もあり、SAXはSEXYな楽器という印象があります。
フォルムや演奏している姿も絵になる楽器だと思います。
バンドの中のホーンセクションでもひときわ輝く主役級の音色を奏でる楽器でもありますよね。
クラシックサクソフォンは初めてです。
あまりクラシックでSAXって印象はなかったのですが、これを聴いてなるほど!と思いました。
上野さんのこのCD、最初の音。一言でいうと繊細。
やはり現役藝大生らしく、ち密で確かな技術力も感じられます。
フルートを思わせるような澄んだメロディーが鳥のさえずりを思わせる『ファジーバードソナタ』、
私の中のSAXのイメージ=SEXYが一番感じられる『バラード』、SAXが謳っているような『プロヴァンスの風景』、
弦楽器を思わせるような『ファンタジー』とさまざまな音色の楽しめるお得なCDだなと思いました。
楽曲は品行方正なのですが、色々な表情を魅せてくれて、やはりSEXY。
ぜひ演奏している姿を見たい、LIVEで聴いてみたいと思いました。
上野さんはまだまだ若いということで、これからいろいろな経験をつみ音も艶っぽく深みを増していくのかなぁと期待して、今後も注目していきたいと思います。

☆Review by ピノさん
サックスのとてものびやかな音が心地いいし、かっこいい。
サックスの音がいろいろと変化するのが楽しくて、まさに音を楽しむ楽器というのを思わせます。
ピアノとの相性もばっちりで、仕事で疲れて家に帰ってから聞くとほっと一息つく感じ。
サックスの身体に染み入るような音とピアノの掛け合いがとても心地よくて、目を瞑るだけで素敵な雰囲気の場所に連れて行ってくれる、とてもリッチな気分になる音楽でした。

☆Review by めろでぃあんさん
サクソフォンのための曲を今回初めて聞かせてもらいました。
正直サクソフォンのCD1枚聞いていて楽しめるのかな!?と思うところもありましたが、そんな心配はまったく無用で、音色の美しさや曲の面白さなど、どれも楽しめるものでした。
演奏者は、まだ芸大4年生の若さあふれる上野耕平さん。
CDタイトル”アドルフに告ぐ”と聞いたときに、”アドルフ”って!?と思ったのですが、サクソフォンの生みの親、しかも2014年は生誕200年というAnniversary year!!
サクソフォン界にとって、とっても意味深いタイトルがつけられていると知りました。
収録曲は、5人の作曲家によるクラシックサクソフォン5曲。
作曲家によって曲のカラーが異なり、又ジャズっぽいものや吹奏楽風、バラード風など色々でしたが、曲のスタートともに、サクソフォンの美しい音色に引き込まれました。
多彩な音色から放つ音楽は、時には人の叫びのようでもあり、これこそ生きている音楽だと感じさせる演奏。
特に哀愁たっぷりに響きわたる音色には、一目惚れではなく一聞き惚れしてしまいました。
サクソフォン=jazzのイメージが強かったのですが、上野耕平さんの演奏を聞き、サクソフォンの楽しみ方が広がったようです。
これからの活躍が楽しみです。

☆Review byみきさん
10月22日にクラシックサックス奏者の上野耕平さんがデビューアルバム『アドルフに告ぐ』をリリースされるとのこと、おめでとうございます!
1992年生まれのフレッシュな感性で作られたアルバムを私も拝聴いたしました。
クラシックサックスのアルバムって…?いざ聴き始めるまではどんな音楽なのか全くイメージがありませんでした。
そんな私が最初の一曲目から引き込まれます。
気づいたら全曲終了しており、"今聴いたこの音楽...カッコよすぎる!"とつぶやいていました。
上野さんが奏でる音は本当にサックスだけで出しているのかと疑いたくなるほど、多彩な音色と奏法。
アルバムの1曲目はファジーバードソナタで第1楽章はRun bird, 第2楽章はSing bird, 第3楽章はFly birdと名前が付いていますが、
このRun, Sing, Flyがサックスで見事に表現されているように感じました。
サックスとはここまで多くの可能性を秘めている楽器だったのですね。
そしてその全ての音がスタイリッシュで、気持ちが高揚するのです。
私のようにクラシックサックスのイメージがあまり無い方には新しい音楽の扉を開いたような衝撃体験になると思います。
まだ若い上野さんが今後どんな新しい音楽の世界へ招待してくださるのか…今からその扉を開けるのが楽しみです!